PSYCHO-PASS TEXT

アニメ PSYCHO-PASS(サイコパス)について、自分なりに考えたことを綴るブログに変更しました。

PSYCHO-PASS LEGEND 執行官狡噛慎也 理想郷の猟犬(サイコパスノベライズ)-感想-

この感想はバレを含みます。

 

まずは一つ目「執行官狡噛慎也」の方の話の感想から。

こちらは常守が配属されて1ヵ月後に起きた事件で、

監視官時代に遭遇した事件とリンクさせてかかれています。

内容は普通にアニメ本編でもやっていそうな話でした。

1日あれば読み終えることができます。

話として面白かったです。

(シビュラシステム運営下で起こす事件の話を考えるの大変そうですよね。

出し惜しみしなくていいのか、心配になります)

 

こちらにはまだ初々しい常守と、狡噛慎也がどういう人物であるかが書かれています。

あとは「自分がやりたいことがシビュラシステムのせいでできない」というのは、

裏を返せばやりたいことができるっていいことなんだよというメッセージがあったのかなと。

ラストの1係の歓迎会といい、

考えさせられる作品というよりは、ファンサービスに近い内容の小説でした。

 

 

二つ目の「異邦人狡噛慎也」も、一つ目とは違った意味で面白かったです。

狡噛は国境警備が厳しく管理されている日本から海外逃亡を無事成功させるのですが、

それには槙島一味の道具やデータのおかげであるという

なんとも皮肉な結果というのが面白かったです。

狡噛が槙島の幻影をよく見るようになったというのも、さらに皮肉です。

劇場版にいたるまで、彼が海外でどう過ごしていたか、

彼のタフさや真摯さ、人をほおって置けない性分もあわせて、

より魅力的に成長したキャラだと思いました。

 

 

私は、狡噛は人として持てるものをたくさんもちすぎて規格外になったが故、

シビュラは潜在犯判定をして自由をきかないようにしたんじゃないかって思います。

シビュラの脅威となる人物はやっぱり狡噛なんだと考えています。

PSYCHO-PASS LEGEND 執行官狡噛慎也 理想郷の猟犬(サイコパスノベライズ)-概要-

執行官である狡噛慎也はある事件をきっかけに、

監視官時代に起こった事件を思い出す。

 

3係に監視官として所属していた頃、肉体強化アスリートの連続殺人事件に遭遇する。

そこで、スポーツカウンセラーの織部ロマという人物が共通点として浮かび上がり

容疑者としてマークするもののドミネーターが反応せず、

別に浮かびあがった犯人がエリミネーターで執行され事件は解決した。

それから8年後、事件の関連性を疑った狡噛は再び織部に接触を試みる。

PSYCHO-PASS GENESIS 1 (サイコパス スピンオフノベライズ)-感想-

バレを含みますので、未読の方は注意してください。

 

GENESISⅠは、

シビュラシステムが運用されて人々の生活に浸透し始めた時代の話です。

この小説には若き日の征陸が書かれていて、

征陸が子供の頃のノナタワーが落成する話も出てきます。

 

征陸を通してシビュラシステムとはなんであるかが描かれていて、

全体的に暗いトーンの物語の中で、征陸家のエピソードはほっとするとともに、

やがてくる悲劇を思うとつらくなったりします。

 

ところで、征陸は父を亡くした原因である

ノナタワー落成式襲撃事件の首謀者にたどり着きますが、

その首謀者が外国人というのが腑に落ちませんでした。

彼には目的があったというより担がれた存在だそうですが、

紛争地帯を渡り歩いた日本に縁もゆかりもない外国人が突然、

日本を破壊しようとする意図は不明だと思いました。

例えば、シビュラシステムがあるとこのままでは日本が危ういと感じた日本人が

抵抗運動を起こすのはなんとなくわかるのですが。

 

作者の方はもしかしたら、首謀者を劇場版の狡噛に重ね合わせ、

(異国人であるが人々の支持を得て反政府運動に参加する)

狡噛が同じ道を辿る可能性があったことを言いたかったのかもしれませんが

少し安直な感じがしました。

 

あとは、小説には一期二期他の小説をからめた話が出てくるのですが、

あまりに本編を髣髴させる部分が多すぎるというか。

プロローグの八尋と征陸の対峙は、一期のプロローグの槙島と狡噛そのままで、

八尋にいたってはセリフまで同じという。

そこまで本編を意識しすぎず、

もう少しのびのびとかいてほしいというのが正直な感想です。

 

ただ、今までのスピンオフとは違い、

スローター(ドミネーターの初期段階の名称)を手にし、

シビュラをしめす犯罪係数に従うまま、

犯罪を犯す可能性だけで人を取り締まることを、

市民や当時の刑事がどう受け止めていたかか。

この部分が書かれていたというのは大きかったと思います。

 

作者である吉上亮さんは、お若いながら濃密な文章を書かれるのですが、

最初の頃に執筆された作品に比べ、

どんどん読みやすくなっているのもよかったと思いました。

 

続きが出て読んだら、また感想を書く予定です。